過去を忘れて

 ひろさちや『釈迦とイエス』(祥伝社)で見つけました。

過去を追うな。
未来を願うな。
過去は、すでに捨てられたものだ。
そして、未来はいまだ到来せず。
それゆえ、ただ現在のものを
それがあるところにおいて観察し、
揺ぐことなく、動ずることなく、
よく見きわめて、実践せよ。
ただ今日なすべきことを熱心になせ。
誰か明日、死のあることを知らん。
まことに、かの死神の大軍と
遭わずにすむはずがない。
このように見きわめて、熱心に
昼夜おこたることなく努める者、
かかる人を一夜賢者といい、
寂静者、寂黙者というのである。

『阿含経』にある「一夜賢者の偈」だそうです。
 過ぎ去ってしまえば思い出になる現在という過去に、縛られる必要はありません。
 うまくいかなかったことを悔いてばかりいては、未来がもっともっと暗いものになっていきそうです。
 私は「忘れっぽい」ところが欠点だと今まで思ってきました。
 しかし、今では、「忘れっぽい」ことで、しんどい今が耐えられてるような気がします。
 今も過ぎてしまえば、過去。
 過去も忘れてしまえば、思い出。
 未来は過去を忘れて望めばいい。

(2001.1.26)