松枝史明『実践的ライター入門「売れる・読ませる」文章が書ける』(PHP2004.12)を買いました。「本を書く」という目標を明確にすると、この手の本が目に飛び込んでくるのです。
七〇〇個のパラグラフは、一日に三〇作れば十日で三〇〇個、二十日で六〇〇個ですから一カ月もかからないで、一冊分できあがってしまいます。
パラグラフというのは、簡単に言えば、一段落のことです。上の文章もパラグラフといえます。パラグラフが700個できたから本が完成ではなく、そのパラブラフを並び替えたり、項目ごとにまとめて、一冊の本にしていくのです。
しかし、下書きとはいえ、文章の絶対量がほぼ一冊分できあがっていることの心理的効果は大きい。また、パラグラフができあがるということは、頭の中に全体の見取り図のようなものができることに通じる。ここにいたって、ようやく執筆という作業に取りかかれるのです。
まずは、膨大な量のパラグラフ作りから、スタートです。
(2005.1.3)
松枝史明氏が『実践的ライター入門』の中で、次の文章を紹介しています。
がん治療の第一の特徴として、人の身体に不可逆的な変化を生じさせる、ということがある。手術で臓器をとってしまえば、やり直しがきかないことは明らかだし、化学療法(=抗がん剤治療)も、肺線維症や腎不全など不可逆的な変化を引き起こすことがある。 近藤誠『ぼくがすすめるがん治療』(文藝春秋)
「不可逆的な変化」という表現は、分かりにくいのですが、その後の文によって、それが分かるような仕組みになっています。「やり直しがきかないこと」が不可逆的な変化を指しているのです。
この文章の書き方で、私が思ったのは、松枝氏と全くちがうことです。
子どもが知らないような難しい言葉であっても、近藤氏の文章のような書き方をすれば、読んでいる内に自ずから理解できるわけです。
難しい言葉をまず書き、次にその具体例を示すことで、難しい言葉が理解できるということです。
子ども向けの文章を書く中で、難しい言葉を全て書かないのではなく、具体例をつけ加えれば、難しい言葉を伝える役割を果たすことができるのです。
(2005.1.4)