信託考

 信託の授業の出だしを改めて考えてみます。
「人は誰かとつながって生きています。誰かを信じ、何かを託して、自分の願いが実現することもあるのです。」
 信託の考え方を最初に話しているわけです。
「あなたです。こまっています。」
 あなたにも起こりうるような問題であることを表現しています。
「来週から一週間、家族旅行に出かけることになりました。でも、心配なのは、大好きなペットのタマ、一緒に連れていくことはできません。どうしたらいいでしょう。」
 ここで、どうしたらいいか、いろんな解決策を子どもたちに考えさせることができます。
 なにも、ペットホテルに預けるだけが解答ではありません。
 私なら、ノートに番号を打って3つ書かせ、書くものを指定して、子どもに自分の解決案を板書させていきます。
「ペットホテルに預ける」という意見があれば、それは黒板の右端に書くよう指示します。
 いろんな解決策を黒板の左端から読ませていき、最後にペットホテルの解決策を読ませ、次の展開につなげていくのです。
 ただ、「ペットホテルに預ける」という解決策よりもとても大事な解決策を子どもには思いついてほしいのです。
 それは、

 どうしたらいいか、友だちに相談する。

 相談する相手は、友だちでも親でも先生でもいいのです。
 相談するということを知っていれば、自分がペットホテルのことを知らなくても、相談した相手が知っていれば、「ペットホテルに預ける」という一つの解決策に行きつくことができるのですから。
 このことは、人と人とがつながっている、ことにも通じるのです。
「人は誰かとつながって生きています。」
 つながって生きていることを本当に理解するのは、自分が困った問題にぶつかったときなのです。
 毎日毎日の生活で、困ったことがまったく起こらないような人生は、1人で生きてもいい人生ともいえます。でも、実際は、困るようなことが常に起こるように人生はなっています。
 人と人とがつながっていくことの大切さを困難な出来事を通して、人は気付いていくのでしょう。
 人からの相談を受けられるようなそんな生き方をしたいものです。

(2007.1.28)