読むチカラ

『「東大国語」入所問題で鍛える!齋藤孝の読むチカラ』(宝島社2004.8.13)から、なるほどと思ったところをいくつか取り上げてみます。

 数学は、共通理解を求められるに決まっています。それ自体が客観的なものをやっているわけです。しかし、現国は読み方が複数あるところで、なおかつ客観性を求めているわけです。(中略:荒井)
 世の中では、グレーゾーンでどれだけの共通認識を持つかということが、一番難しく、かつ価値が高いのです。答えが一つに決まらないから現国が嫌いだ、というのでは話は始まりません。
 現国が本当にできる人は、「皆おおよその線は決まっている」と言います。現国能力のある人同士では、読み方がずれることはほとんどありません。

 共通認識を持てるためには、まずは論理にそって正しく読める必要があるわけです。誤読したうえで、自分の勝手な主観読みしては駄目なのです。

 引用力とは、入試の問題文を読んだ時、その内容に触発されて、別のものを持ってこられる力です。例えば、島崎藤村の『嵐』が問題文として出題されたら、解答にはロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』といった作品を引用できるとか、そういう能力です。

 何を引用できるかで、その人の理解力と知識量も試されるわけです。

(2008.1.7)