行動し続けることの大切さ

 道徳の『生きる力』にある「よみがえれ、わたしたちの海」を授業します。ナホトカ号重油流出事件を扱ったものです。
 このお話とからめる形で、たった一人から谷津干潟の自然を取り戻した森田三郎さんのことも扱っていきます。

29歳の時、「埋められていく谷津干潟」という新聞記事が目にとまった。
子供の頃遊んだ大切な場所が、腐臭を放つゴミ捨て場と化していた。
下水、農漁業の残渣、牛や豚の骨、犬猫の死体、ふとん、バイク、自転車…ありとあらゆるゴミが無造作にヘドロに埋もれていた。市長は「習志野市の恥」と言い、悪臭に悩まされる住民は早期埋め立てを望んでいた。
私は、まず一人で「谷津愛護研究会」をつくった。
そして、新聞配達以外の全ての時間をゴミ拾いすることにした。
人目が気になる。体にこびりつくヘドロの悪臭が気になる。恥ずかしかった。
しかし、ヘドロの下には、かつて遊んだ思い出が眠っている…。
腰まで浸かってもやるしかなかった。
拾う傍からゴミを捨てていく男性。
「勉強しないとああいう仕事しかできなくなるんだよ」と子供に言う母親。
住民や行政とぶつかって孤立する中、自然保護団体は引いていった。
雨や風の中でもごみ拾いを続ける私は、いつしかこう呼ばれていた。
「きちがい、変人の森田」
3年後… 地元の主婦が、ついにゴミ拾いの手伝いを申し出てくれた。
8年後… 私は新聞配達もやめ、谷津干潟の近くに引っ越してきた。
私自身が看板になろう。一番目立つ100メートルを徹底的にきれいにした。
何週間かすると臭いがしなくなり、貝やカニ、ゴカイが現れてきた。
干潟がきれいになり始めると、次第に、ごみの投げ捨てが止まっていった。
11年後… 埋め立て計画は撤回された。
そして、平成10年… 「水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」としてラムサール条約に登録された。
私は、タクシー運転手をしながら、今もゴミを拾い続けている。
なぜなら、それが日常の一部だから。
http://nakaosodansitu.blog21.fc2.com/blog-entry-1278.html

 TOSS岡山の藤井優作氏が6年前に授業化した「行動し続けることの大切さ~森田三郎さんの生き方に学ぶ~」を少し改変して授業化します。
ナホトカ号重油流出事件で被害を受けた福井県三国町の人たちも、森田三郎さんも、あきらめず行動し続けたからこそ、元の自然を取り戻すことができたのです。何かに向かって行動し続けることの大切さをこの授業を通して、子どもたちに学んでいってほしいのです。

(2010.1.31)