「円と球」の学習の中で、円の形をした紙をかさねる作業があります。
どこで円を半分に折っても、必ず中心を通ること。また、その線を「直けい」というのだ、ということも学習するのです。
3クラス全員の子の円を用意するのは、無理というもの。
当然、子ども自身に描かせて、円を切らせることになります。
折り紙をもらった子ども達は喜びました。
『折ったり、定規を使ったりしないで、折り紙の真ん中らへんに中心を描きなさい。』
中心点は、赤で描かせるようにして、つねに、その点の下に「中心」と鉛筆で書かせています。
『半けい4cm以上の円を描きましょう。』
『描けた人は、ハサミで切り取りましょう。』
コンパスで円を描く。そして、切る。
ここに、作業時間の違いが大きくできるのです。
その空白を埋める作業が必要になってきます。
『円が切り取れた人は、その円と同じ円をノートに描いてごらん。コンパスを使うんだよ。』
時間調整のための作業だったのですが、別の効果がありました。
折り紙の円と同じ円を描く時に、子ども達はどうしたらいいか、ちょっと考えていました。
ある子は、コンパスをまだ閉じてなかったので、そのままの幅で、ノートに円を描いていました。
ある子は、切り取った円の半けいをコンパスで計り取って、ノートに円を描いていました。
『ノートの円と、切り取った円がぴったしになるか試してごらん。』
「ぴったしになった!」
『○○さん、すごいねぇ。どうして、同じ円が描けたの?』
と、問うことで、自分のやり方を言ってくれます。
これが、学習になるわけです。
そうこうする内に、全員が円を切り終わったところで、円の形をした紙を折っていく作業をみんなでするというわけです。
今回、「円と球」の学習は、計算関係の学習を教えるより、難しいです。
その難しさの理由は、いくつかあります。
1つは、描くという技術を子ども達に身に付けさせるには、時間がかかる、ということ。2つ目に、その技術習得に差があるということです。
でも、だからこそ、教えがいもあります。
(1999.6.18)