「カマボコおとし」という遊びがある。次の本に紹介されている。
田中邦子編『伝承遊びの教室①外あそび』(一声社)
一人が1つカマボコ板を持ち、2つのチームに分かれる。
先攻・後攻と、交代でゲームを進める。
まず、守りのチームは、線上にカマボコ板を立てる。
そして、攻撃チームはある方法で、相手の立ってるカマボコ板を倒すのである。 ゲームの基本ルールは、こんなものである。
最初の攻撃は、頭にカマボコ板をのせ、相手の線のところまで落とさないように歩いていき、相手のカマボコ板の近くに来たら、頭のカマボコ板を落とし、相手の板を倒すのである。
今回は、詳しいルールを説明しようとは、思っていない。
この遊びの魅力について考えてみたい。
《魅力①》難易度が変わる
カマボコ板を載せる場所がクリアするたびに、変わっていく。
頭→肩→あご→肘→背中(お爺さん)→胸(お婆さん)→股(はさむ)→膝→足(のせる)→5歩投げ→3歩投げ→1歩投げ→5歩けり→3歩けり→手裏剣
基本的に難易度があがっていくが、途中、すごく簡単なものもある。そこが、またいい。ほっとする場面は必要だ。
まさに、これは「変化のあるくり返し」である。
《魅力②》お助けルールがある
とにかく、相手チームの板を全部たおさなければ、次のレベルにはいけない。
頭にのせて、相手のを全部たおせなければ、ずっと頭である。
そうすると、どうしても、うまくできない子が出てくる。頭に板をのせて、何回もチャレンジするのだけど、例えば、髪の毛がサラサラで、歩くとすぐに、板が落ちてしまう。何度やっても、ダメだ。
そんな時、団体戦ゆえのお助けルールがある。
それは、相手の板をたおせた子が、他の相手のをさらに倒しにいっていいということだ。他の子ができなかったのを補うことができるのである。
そして、この再び別の相手のをたおしにいくのを子ども達は喜ぶのである。
自分でできないことは、仲間にやってもらう。それを仲間も喜ぶ。
助け合いであいながら、お互いの欲求に基づいてるのが、いい。
しかし、なんで、こんなにもうまくルールを作れたのだろうか。
それは、たぶん、伝承遊びだからだろう。
小さい子も混じって遊ぶ時には、こんなルールが編み出されるのである。
(1998.3.28)