成功体験指導の10原則

 子どもに成功体験をさせるためのコツを向山先生の授業の腕をあげる10原則に沿って、考えてみます。

1.趣意説明の原則
 子どもに何かに挑戦させる時、それができたらどういういいことがあるかイメージさせる。例えば、マット運動なら、三半規管が鍛えられ乗り物酔いしなくなる、ことを語る。暗唱なら、1つを覚えることで覚える仕組みが頭の中にできる、ということなど。
2.一時一事の原則
 成功させたいことは一時に一事とする。その方が、子どももそれに対して集中して取り組める。百人一首と歴史カルタを同時に始めるなんて、馬鹿なことをしてはいけない。
 二重跳びに挑戦させるなら、ある一定期間は二重跳びのみを挑戦させるのである。教師自身も、決めた期間で、全員達成させるんだ、という意気込みを持つ必要がある。
3.簡明の原則
 何をどこまでやったらできた、というのかを明確に示す。
 水泳なら、25mが泳げたら合格、というように。
 この時、合格基準をゆるめたりしない。
 ゆるめると、合格した者への成就感を減退させる可能性がある。
 また、合格基準が厳しいからこそ、達成したときの喜びも多いのである。
4.全員の原則
 クラス全員達成をめざす。クラス全員一人残らず成功させてこそ、成功体験を持たせた、といえる。一人二人できない子こそ、成功体験をこれまで実感できなかった子なのである。
5.所時物の原則
 場所と時間と物をしっかり確保する。
 全員2重跳び達成をめざすなら、体育の時間必ずなわとびをやり(短時間でも)、なわとび級表やスーパー跳び縄を用意する。
6.細分化の原則
 最終的な達成目標にいきなりやらすのではなく、スモールステップを作る。暗唱であれば、最初は題名と作者だけを覚えさせたりする。次に一連のみ、というように細分化する。
7.空白禁止の原則
 ステップとステップの間に伸び悩んだとき、どんなことをすればいいか、教える。また、早くに達成した子には、次の課題を与える。
 なわとび級表にはAとBがあって、両方があることで、空白禁止が達成できる。1つの技が出来なくても、ほかの技に挑戦できるからである。
8.確認の原則
 今どのくらいのレベルか言ってあげたり、級表などで示す。
 練習量から、あと30回やればできるよ、というアドバイスもあげる。
9.個別評定の原則
 一人一人合否を判定する。全員でできたとしても、一人一人の達成感は弱い。「自分ができた」という思いを持たせる。
10.激励の原則
 はげます。常に声をかける。小さな変化をほめる。
 また、努力の仕方を教える。「努力のつぼ」の話や向山先生の成長曲線の話などをする。
 教師が励ますだけでなく、みんなで励まし合えるクラス作りをする。

 一気に書いてみました。意外と書けるものです。
 それだけ向山先生の授業の10原則が、いろんなことに適用できるすばらしいものだと、いうことです。
 ただこれだけでは、まだ足りないので、一つ一つの原則について、もっと事例にそくして、突っ込んで取り上げるべきでしょう。

(2004.3.23)