跳び箱や酒井式の絵は、教師の指導によって、すぐにできる成功体験です。
一方、二重跳びや漢字テスト100点などは、教師の長期に渡る指導と、本人のがんばりが必要になってきます。
この教師の長期に渡る指導とは、システム化された指導ともいえます。
例えば、「二重跳びが跳べる」という成功体験を全員に保証する、と決めたとします。どんな手を一年間の中で、うっていくべきでしょう。
TOSSランド№1213134「5年生向山型体育年間指導計画表」末光秀昭
末光先生が書かれた年間指導計画の4月に次の記述があります。
・縄跳びも毎回体育の時間に入れる。
次が6月です。
短縄跳びは1分間に150回は跳べるようにしておく。
そして9月。
※このころには二重まわしが全員30回を越えるようにしておく。
※二重跳びリレーを1学期から続けておく。
ラスト3月。
※二重まわしが50回はでき、ハヤブサ跳びや三重跳びにもチャレンジできる。
この計画表で読みとれるポイントは、次のようになります。
①体育の時間では、毎回、縄跳びもする。
②3ヶ月かけて、1分間に前跳び150回を跳べるようにする。
③二重跳びリレーを1学期から続け、2学期の9月には二重跳びが全員30回は跳べるようにする。
長崎の伴一孝氏は、次の仮説をあげています。
「前跳びが1分間で150回以上跳べる子は、二重跳びができる。」
二重跳びができるようになうためには、まず何ができなければいけないのか、ということを明確に示すからこそ、子ども達もがんばることができるのです。
TOSS長崎の大町勝一氏は、『向山洋一体育実践研究会VOL.9』のまえがきで、縄跳びのシステムを次のようにまとめています。
●メインシステム・・中心となるシステム(自動車のエンジンにあたる。)
「縄跳び級表」
●サブシステム・・中心のシステムを支えるシステム(自動車の色んな部品)
「跳び縄にはるビニールテープ」や「教室に掲示する級一覧表」
●日常的指導・・意欲を盛り上げシステムを維持する(ガソリンやメンテナンス。)
「授業中に二重跳びリレーを行う。」など
「跳び縄にはるビニールテープ」というのは、縄跳び級表の級が合格するたびに、色ビニールテープ を縄に巻いていける、ということです。
18級……白帯
16級……水色帯
12級……黄色帯
7級……緑帯
1級……茶帯
特1級…黒帯
ここで、ビニールテープの巻き方は、2通りあります。
1つは、左の級に達したら、その色のテープを巻く、という方法です。
特1級まで合格すると、6色6帯が縄に巻かれるわけです。(巻くところは、グリップのそばの縄から順に)
もう1つの方法は、20級に合格したらまず白帯を巻き、19級に合格したらさらに白帯をもう1つ巻く、という方法です。
18級まで合格したら、白帯が計3枚まかれるわけです。
特1級が合格した時は、白帯3枚、水色帯2枚、黄色帯4枚、緑帯5枚、茶帯6枚、黒帯1枚の計21枚のビニールテープが巻かれるわけです。
後者の方法は、誰が何級か、縄を見て、分かることになります。
(2004.3.25)