コロムビア・ライトさん、漫談家です。漫談家とは、世の中のことを面白おかしく話す人のことです。
ライトさんは、ヘビースモーカーです。タバコを毎日120本も吸っていたのです。ライトさんは、どうなったと思いますか。
ライトさんは、喉頭ガンになりました。
喉頭ガンというのは、喉にできるガンです。
お医者さんから次のように言われます。
「あと3ヶ月で死にます。声帯を切るしか方法はありません。」
ライトさんは、話すことで仕事をしています。声帯を切られてしまうと、もう話すことはできません。
「先生、なんとか切らないで直す方法はないですか。」
「切るしかありません。放っておけば、ガンが食道に転移して、喉と食道、両方 ともダメになる。切りなさい。」
ライトさんは、どうしたと思いますか。
「先生は、ぼくに死ねというんですか。芸人は声が出なければ死んだと同じです。」
「死ねとは言ってない。切りなさい。今切れば治る。喉を切っても食道がある。食道があれば食道をふるわせて声を出す『食道発声』で声が出るようになるよ」
「先生、ぼくは死んでもいいから切らないよ。2ヶ月でも3ヶ月でも、この声で、歌ってしゃべっていたいよ。」
「よく考えなさい。いいですか、ライトさん。もしもあなたが声帯を取って、そして3年、4年、努力をして、舞台に出られるようになったなら、世界で1人、世界でただ一人の食道発声で話す芸人になれるじゃないか。切りなさい。」
ライトさんは、喉を切る決心をします。
(ここまでの話は、加濃正人編『タバコ病辞典』(実践社2004.5.5)より引用して作成しました。)
喉を切ると、次のようになります。
(1) 声が出ない。
(2) 咳、クシャミ。痰が切れない、吐き出せない。嗽(うがい)がダメ!
(3) 味、匂いが判らない。(弱く感じる程度)
(4) 大きい物を食べると食道につかえる。
(5) 口笛が吹けない。
(6) 歌が(高い音)ダメ。
(7) お風呂に入るときに肩まで浸かることが出来ない。
(8) 坂道を駈け上がると動悸が激しい。
(9) 車中で息苦しく心臓の脈が多くなる。
(10) 熱いものが食べ難い。
(銀鈴会のホームページよりhttp://ginreikai.or.jp/より)
この後、コロムビア・ライトさんは、食道発声教室に通って、発声の練習をします。食道で、「ア、ア、ア…」とアの音から順に発声練習をしていくのです。
なぜ、食道で発声ができるのか。
それは、食道でゲップができるからです。
ゲップを発声に変えるわけです。
最初のアの音を出そうとしても、
「はー、はー、はー」と息のもれる音しか出ません。
でも、1年、2年と練習を続ける内に、「ア、ア、ア…」と言えるようになってきたのです。
ライトさんの声を聞いてみてください。
「愛媛新聞ONLINE 動画ニュースhttp://www.ehime-np.co.jp/douga/report/0405tabako/」
ライトさんからのメッセージです。
「声帯がなくても、やればできる、しゃべれる。でももっといいのは切らないこと。禁煙です。禁煙をすれば喉頭ガンにはなりません。言葉は本当に大切です。」
(2005.2.9)