欲しい物を売ってはいけない

 佐藤昌弘『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』(日本実業出版社2003.12.10)を図書館で借りました。PASONAの法則を見事に使って書かれています。2004年の2月で,もう5刷ですから,よく売れているのでしょう。
(以前,はやしで原田さんが紹介してくれた本です。)

 売れないセールストーク(P.31)
お客「すいません。電動ドリルが欲しいんですけど」
あなた「はい。いらっしゃいませ。電動ドリルですね。こちらです。え~と,どういったのをお探しですか?これなんかは,比較的お値打ちで,使いやすいので──」

 これが問題点の明確化ですね。
 そして,次に解決法です。
 売れるセールストーク(P.32~33)
お客「すいません。電動ドリルが欲しいんですけど」
あなた「はい。いらっしゃいませ。電動ドリルのことですね。ちょっとお伺いしていいですか?何か困られていることでもおありなんですか?」
お客「困っているわけではないんですが,ベニヤ板に穴を開けて,子供の工作を手伝ってやらないと。それで電動ドリルを──」
あなた「具体的には,どんなベニヤ板なんです?何枚?」
お客「そうですね。これぐらい厚さで,大きさはこれぐらいかな。それを何枚か作るんですよ。慣れないから大変だ」
あなた「なるほど。であれば,ドリルは今回しか使われないわけですね。1回だけのために買おうとされていたのですね。では,当店でそういったベニヤ板を作成しましょうか?それで加工ずみの板を納品すれば,1番よさそうだと思いますが……」
お客「えっ?そんなこといいんですか?いやぁ,すいません。助かります」

 佐藤氏は,この本の冒頭で次のように言っています。

「お客が欲しいというものを,売ってはいけない」

 お客には,実現したい欲求があって,その欲求をかなえるために,その商品を買いに来ます。でも,その商品がその欲求をかなえてくれるとは限りません。だから,お客は買う前に迷うのです。
「苦情を言う親の苦情を解決してはいけない」に通じるかもしれません。

(2005.3.19)