振幅のある授業に組み立て直す

「老い」の授業を組み立て直しました。
 水曜日に、以前、フラッシュで作った「老い」の授業を5年1組でしました。授業しながら、この展開は不十分だな、と思えたのです。(前までは、よくできた授業だと自画自賛していたのですが。)
 以前の授業では、最初に三浦敬三さんの紹介をしてから、老化について扱い、体の健康を保つ方法を扱い、脳の健康を保つ方法を扱い、痴呆症について扱うというような順序でした。
 それを組み立て直しました。
 最初に、老化について扱い、「年をとって困ること」を子どもたちからたくさん出させました。(この展開は、マルチ発問からという意識がないと出てこなかったわけです。)
 その後に、三浦さんが腰掛けている写真を見せて、何をしているところか聞いたので、子どもたちは「マッサージ」とか「リハビリ」とかの読み取りをしたのです。まさにマイナス方向に授業によって誘導されたわけです。
 以前は、最初から三浦さんの腰掛けている写真から何をしているかを予想させていました。
 年をとって困ることをたくさん発表させてから写真を見せたことで、マイナスの読み取りが増え、それが実はスキー靴の型をとっているところだということが後で分かって、子どもはビックリするのです。
 年を取ることのマイナス面を思いっきり強化したことによって、プラス面を見せることで、子どもの認識が大きく振られて、驚きが生まれたわけです。
 99歳のおじいちゃんが、プロのスキーのインストラクターで、しかも、富士山より1000m高いモンブランを滑り降りる。すごい。となるのです。
 そこで、体の健康を保つ方法を考えさせるのです。
 運動をする習慣、バランスのとれた食生活、十分な睡眠で、三浦敬三さんのような元気な老後を送れるかも、という希望を与えます。
 これで、プラス面に認識は大きく振られました。
 そこで、三浦さんが昨年101歳で亡くなったことを伝えます。最後まで現役スキーヤーとして活躍できたのですから、あっぱれな人生とも言えます。それでもかわいそうだ、と思う子はいるわけです。
 この後、さらに、痴呆症にかかったお年寄りを紹介するわけです。
 最後には、痴呆症の予防や改善に、音読や計算が有効であることを示し、希望の持てる終わり方をしたのです。
「先生も100歳以上長生きしたいです。なぜかというと、世の中の変化を見たいからです。先生の小さい頃は、パソコンも携帯もテレビゲームもありませんでした。…(中略)…50年後、どんな世の中になっているか楽しみです。」

(2007.3.19)