緒方洪庵と蟻田功

 河田孝文氏の「蟻田功」の授業を追試しました。
 今回は、今まで以上の感触を感じた授業でした。
 その理由は、はっきりしています。緒方洪庵で、天然痘をすでに扱っていたからです。緒方洪庵と比べながら、蟻田功の行動を子どもたちは追って行けたわけです。
 河田氏の授業にはないのですが、DVDでプロジェクトXの映像も見せていきました。その中で、現地人が接種を拒むシーンが出て来ています。現地人の天然痘の神シトラマタを祭り、天然痘にかかると幸せになると言われていたからです。蟻田は、どうやって接種してもらえるか考えます。そして、天然痘のワクチンがインドの聖なる牛から取られることから「接種すると幸せになれる」と言って、ワクチンを接種していったのです。
 これは緒方洪庵が、天然痘退治のお札を見せながら、神様の持つ矛でついてもらうと、天然痘を退治できると言って、予防接種させていったのに似ています。
 ところで、子ども達は、天然痘の患者の画像や映像を何度も見せられて、自分が感染したらいやだ、という思いが日に日に強くなっています。それゆえ、天然痘を全世界から根絶した蟻田功氏の偉業に驚くとともに感謝するのでした。
 蟻田が自分の技を教えているのは、まさに洪庵の適塾にも似ています。

(2009.3.12)

 河田孝文氏の「天然痘」の授業を追試しました。
 4年生の社会で、緒方洪庵の学習があります。その中で、洪庵が天然痘を防ぐために、牛とう種とうを広めるために苦労する話が載っています。
『わたしたちの大阪3・4年下』(日文)では、天然痘のことを次のように記述しています。

てんねんとう とうそう、ほうそうともよばれ、人にうつりやすく、昔は多くの死者を出したでんせん病。

 多分、この記述だけでは、天然痘の恐ろしさは分からないでしょう。
 河田先生の授業では、スモールポックス病としての病状が、たくさんの画像で紹介されています。身体中にぶつぶつができ、膿が広がり、内蔵や眼球にまで、ぶつぶつができ、死に至る病気です。感染力が強く、毛布だけでも移ります。また、封筒に入れておくと、10年以上も生き続けるそうです。
 このスモールポックス病が、日本で天然痘と呼ばれてることを知って、子どもたちはびっくりします。
 天然痘を広がるの防ぐためにがんばった洪庵のすごさが、この学習で実感できるのです。また、世界から、この天然痘を根絶したリーダーとして、日本人の蟻田功さんがいたことに子どもたちは感動するのです。

(2014.3.10)