1万円を拾って

 この前、学校帰りの横断歩道で、1万円札を拾いました。
 周りに何人か人がいたのですが、誰も気付かずに歩いていきました。
 私は、その1万円を拾って、ポケットに入れ、そのまま家に帰りました。
 途中、事故に遭わないように気をつけました。(1万円程度で事故に遭っては、大損です。)
 次の日、交番に1万円を届けました。
 そのまま猫ばばしようかとも思ったのですが、子どもが落としていたとしたら、寝覚めが悪いです。たかが1万円で、嫌な思いを残すのも損です。
 今回、落とし物を交番に届けて、びっくりしたことがあります。

①巡査が拾得物預り書を書く。
②落とし主は、私のところへ連絡し、拾得物預り書をもらいに来る。

 落とし主が自分の落とし物を取り戻すためには、私の家まで来なければならないシステムなのです。
 そして、そのために、私の住所と電話番号を落とし主に教えるというのです。
 こんな馬鹿なシステムはありません。
 どんな人物が落とし主か分からないのに、その人に住所と電話番号を教えるなんて、実に非常識です。
「それは、困ります。」
と、私は言いました。
「別にお礼なんていいですから。」
とも、言いました。すると、巡査は、
「では、権利を放棄しますか。」
と言ったのです。権利を放棄すると、落とし主が現れなかった場合でも、この1万円は私にはもらえず、警察の物になるということです。
 落とし主が現れないならば、私がいただいても公明正大です。
 そんな権利まで放棄したくありません。
「落とし主が現れたら、警察が私に電話をしてください。」
 そう、お願いをしました。
 本来なら、こんなお願いをする前に、そういうシステムにすべきです。
 さて、今年の11月4日までに落とし主が現れなかったら、この1万円は私の物になります。
 でも、私はそのことを自分で思い出して、来年の1月4日までに取りに行かないといけないのです。(警察は連絡してくれない。)
 つくづくあきれたシステムです。

(2004.4.24)