柴田義松『ヴィゴツキー入門』(子どもの未来社2006.3.30)が出版されたので、「発達の最近接領域」について、もう少し詳しく学んでみます。
二人の子どもをテストし、二人とも知能年齢が八歳だったとします。この子どもたちに、八歳より上の年齢のテストを与え、解答の過程で誘導的な質問やヒントを出して、助けてやります。すると、一人は十二歳までの問題を解き、別の子どもは九歳までの問題しか解けないということのあることがわかりました。
他人の助けを借りて子どもがきょうなし得ることは、明日には一人でできるようになる可能性があります。
このことから、最初の知能年齢、つまり子どもが一人で解答する問題によって決定される「現下の発達水準」と、他人との協同のなかで問題を解く場合に到達する水準=「明日の発達水準」との間の差違が、子どもの〈発達の最近接領域〉を決定する、とヴィゴツキーは主張しました。(P.25,26)
ということは、同じ程度の学力だと思われている子を集めても、その後の伸びには差違がある、ということです。以前、久保先生も言っていたことですが、習熟度別でクラスを分けても、分けたそのクラスの中の最近接領域が子どもによって違うということです。下位のクラスの子が、中位のクラスよりも伸びる、ということもあり得るのに、適切な協同がなされないのが問題なのかもしれません。
(2006.4.4)