さぼった子への指導

 昨日の放課後、3組の集会委員が理科室に集まりました。
 来週の木曜集会の準備のためです。
 6年の男子の1人が「帰らないといけない」と言いました。
 その理由を追及しました。
「この前は塾があるけど、4時半までは残れると言っていたね。なんで、今日になって、帰らないといけなくなったのですか。」
 最初は、「塾の宿題をやってないから」と言ってましたが、ホントのところは、友だちがテレビ出演するので、そのシーンをビデオに録画するため、ということでした。
「それは、先生も見たいから、先生が学校で録画してあげます。」
 これで、その男子は残ることになりました。
(次の日、録画したビデオをその子に貸しました。)
 あと5年は3人とも来ているのですが、6年の女子1人が来ていません。
 放送で呼び出したところ、クラスの子が、「もう帰りました」と言いに来てくれました。
 結局、1人欠席の4人で、集会の準備を4時半すぎまでしたのです。
 問題は、来なかった子の指導をどうするかです。
 真面目な女の子ですが、たくさんの塾に行っています。
 多分、塾に追われていて、集会の準備があることを忘れて帰ったのでしょう。
(担任の先生には、今日あることを連絡しています。)
 次の日(今日)は、6年の社会見学です。8時半集合となっています。
(私も車椅子の子をサポートするための付き添いで行くことになってます。)
 8時15分。放送しました。
「6年3組の○○さん、学校に来てましたら、職員室に来なさい。」
 すぐにやってきました。
「すみません。」と、その子が言うのを無視して、
「こっち来て。」と、人のいないところへ連れていきました。

「なんで呼ばれたか分かりますか。」

 どんな時でも、呼び出した時は、この質問から私は言います。
 いきなり叱り出したりしません。
 この質問に相手がどう答えるかで、こちらの対応を決めるのです。
 武道でいえば、先にこちらから仕掛けないので、相手の出方を見る、ということです。
 この後の対応を再現してみます。
荒「なんで呼ばれたか分かりますか。」
子「はい。集会の準備に行かなかったからです。」
荒「どうして来なかったのですか。」
子「塾があって、塾の宿題もいっぱいあって、忘れていました。」
荒「いつ思い出したんですか。」
子「塾に帰って、9時ごろ思い出しました。」
荒「今日の朝は、何時頃に来ましたか。」
子「さっき来ました。」
荒「さっきね。なんで放送で呼ばれる前に来なかったんですか。」
子「朝は、忘れてました。」
荒「そんなもんなんですね。昨日の放課後、○○くん、○○さん、…が来て、4時40分ぐらいまで集会の準備をしました。○○くんも塾があるけど、4時半まで残ってやりました。○○さんは、あなたとペアでルールを言うことになってたんだよね。昨日は1人で一生懸命考えていました。先生は、6年生のあなたが来てないことが、情けなかったは。」
子「5時間目までは集会のあること覚えてたんだけど、6時間目には忘れてました。10分でも出ようと思ってたですが。」
荒「10分でも出ようと思ってたんですね。そうだよな。でも、それを忘れてちゃ仕方ないでしょ。そういうのを無責任っていうんです。」
荒「○○さんが、塾で忙しいのは先生も知ってます。だから、無理してまで準備に来いとは言いません。でも、行けないなら行けないので、理科室に寄って、みんなに「ごめんな」と声をかけていくべきじゃないんですか。」
 もう、この子は泣いていました。
 私の方でも泣かすつもりで話をしていますから。
 忘れてすむほど世の中というのは甘くありません。今回のことは、泣くほど、自分の身にしみさせないと、この子のためにならないのです。
荒「問題は、これからどうするかです。どうするの。」
子「みんなに謝ります。」
荒「そうだね。6年生は今日社会見学ですから、帰ってきてからになりますね。もし5年生が残ってたらできるよね。○○くん(6年)にはすぐ謝るんだよ。○○くんに攻められるかもしれないけど、それは仕方のないことだね。」
 泣かすだけで終わっては指導になりませんし、その子を追いつめるだけで終わってしまいます。
 行動へのアプローチが必要なのです。
 自分の失敗を取り戻すために何をするのか、ということが大切なのです。
 この子を明日の昼休みぐらいに、もう一度、呼び出すつもりです。
 謝罪をしたかの確認ですが、それだけではありません。
 集会のための段取りについて聞いてきているかどうかも確認するのです。

(2005.6.10)