他者意識から始まる

 出口汪『出口の国語~話し方編~』(インプレス)の第一章は、「すべては他者意識を持つことから始まる」となっています。
 他者意識とは、

たとえ家族であっても別個の人間だから、そう簡単には分かり合えないという意識なんだ。君たちは話したことは相手に伝わるものと思っていないかな?(中略)誰もが主観を通して物を見るし、相手の話も文章も自分の主観を通して再解釈する。分かり合っていると思えるのは表面的なものだけであって、心の奥深いところでは誰もがお互いに分かり合っていないものなんだ。

 私は、どちらというと、他者意識が強い方です。人と人はそう簡単には分かり合えないものだと、いろんな時や場面で、思ってきました。
 教務の仕事をしていて、出して欲しい書類があるけど、朝は授業に行くから余裕がないだろうな、と思って、催促を躊躇してしまいます。
 人といて、話しているのも楽しいのですが、家に帰って一人になるとホッとするのは、常に他者意識してるせいかもしれません。
 さて、話し方でなぜ他者意識の話が出てくるかといえば、感情にまかせた、論理のない話し方は、相手に正しく伝わらないからです。
 人と人が違うからこそ、伝えるためには技術がいるのです。

(2014.4.27)