政教分離とは道徳分離

 岡田斗司夫『僕らの新しい道徳』(2013.8朝日新聞出版)は、道徳についての対談集です。その中の與那覇潤氏との対談に次の記述があります。

岡田  與那覇さんのコラムを読んでいてびっくりしたんですけど、法治国家って政治に道徳感情を持ち込んではいけないって本当なんですか?
與那覇 本当ですよ。政教分離って、要はそういうことですから。

 法治国家は、法律に基づいて行われるものです。今日のニュースで、統一地方選の候補の一人が全裸の選挙ポスターを掲示したことが載っていました。大事な部分は文字で隠れているので、法律違反にはならないそうです。

與那覇 日本人は、政教分離の合意を狭義の宗教問題のみに限定しているところがありますね。「われわれは無宗教だ」と言いながら会社の朝礼を礼拝化しているのと同じで、そもそも自分たちが道徳を持ち込んでいることに無自覚な人が多いですし。
 たとえば、子どもに「どうしてあの人は牢屋に入るの」って聞かれたとき、みんな平気で「悪い人だから」って答えるでしょう?
岡田  悪いから罰せられるんじゃなくて法律を破ったから罰せられるんですよね。誤って人を死なせてしまうなど、犯罪を犯してしまう可能性は誰にだってある。法律的な正義と道徳的な正義は切り分けないといけないと。

 法律だけでは補完できない世の中から、道徳が必要なのでしょうね。

(2015.4.28)