忘れたら、足せばいい

 コメディアンの萩本欽一さんが、今年、駒澤大仏教学部に入学しました。
 欽ちゃんは、なんと73歳です。

 年を取ると、どうしてもものを忘れていっちゃう。でもね、なくなっていくものがあるんなら、別の何かを足していけばいいって気付いたの。そうすればプラスマイナスゼロ。あわよくばこの年でもプラスにまでもっていけるんじゃないかって。
『サンデー毎日』(2015.4.19)

 年を取れば、物忘れだけでなく、できなくなっていくことも増えていくわけです。自分からどんどんマイナスが増えていくと、どうしても、過去のプラスを頼りたくなってしまいます。
 しかし、過去の自分の生み出したものを取りだしても、それはプラスにはなりません。新たなものをプラスしなくては、マイナスが増えるだけなのです。

 受験勉強は毎日続けて、夜中まで10時間以上になることもあったのよ。英語なんて「三単現のs」からだよ。でも、僕はコメディアンだかね。「climate(気候)」という英単語は、「クリ待て、聞こう」なんて小話にして覚える(笑)。ずっとやってきたネタ作りのような勉強法を編み出したんだよ。

 新たなものをプラスする上で、自分がこれまで身に付けてきた技は活かせるわけです。プラスしようとするからこそ、活かされるわけです。

(2015.6.3)