『赤旗 日曜版2015.7.26』に、萩本欽一さんの言葉が載っていました。
子どもたちに僕が言ったのは、「みんなが右を向いていたら、とにかく1回左を見ろ。左にいいことがある。たくさん人が集まっているところには運がない」とね。
とにかく1回、というのがポイントかもしれません。
株式投資で有名な「人の行く裏に道あり花の山」に通じるところがあります。
それと人に何かを教える立場になったら、正解は教えないほうがいい。明治座の舞台でも、小倉(久寛)ちゃんが、こうやったらもっとウケるのにな、というときがあったの。誘導しても、なかなか気がつかなくて。
みんなからは、「小倉ちゃんに言ってあげたら」って言われたけど、僕はあえて言わなかった。僕に言われてウケても、幸せ感がなくなるからね。
算数の難問を出して、ノートを持ってきた子に×だけつけて、いっさいヒントを言わないのに似ています。
あるとき、小倉ちゃんが自分で正解にたどりついた。お客さんがワーッと笑ってダーッと拍手が来た。そのときに俺、小倉ちゃんのところへ言って、「小倉ちゃん、おめでとう。100点」と言ってバッと握手したわけ。そのあと、小倉ちゃん、泣いてたって。
その人が自力で正解にたどりついたときに賞賛しているのです。
そういう物語が大事なの。失敗したら、もう1回やらせ、できたとき丸ごと相手の手柄になるようにした方がいいんです。時間はかかるけど、相手に「自分の力でここまで到達した」っていう達成感を持ってもらうことが大事なの。そうすれば、その人はグイグイ伸びる。辛抱の上に花が咲くんです。
ヒントや手助けをしないからこそ、できたときに、その人の手柄となるわけです。ヒントや手助けしてもらってできても嬉しいでしょうが、その後の伸びに大きな違いが出るわけです。
今日、スポーツジムでルームランナーで走りながら観ていた番組で、小学2年生の天才数学少年が取り上げられていました。
すでに高校3年生レベルの数学の問題が解けるのです。
ご両親が二人とも東大卒で、数学の問題を解かせる上で、絶対に守っていることがあるそうです。
それは「答えを教えないこと」だそうです。
その子は、インタビューの中で、数学の楽しさの一つとして、「問題が解けたときの達成感」をあげていました。
欽ちゃんの話と通じるところがあります。
もちろん、何もかもヒントなしで、できるまでさせることはできません。
教えてないことができないのは当たり前ですから、そういう時は、考えさせるよりもやり方をサッと教えてあげる方がいいのです。
(2015.7.27)