語彙力がその人の世界を決める

 出口汪『自分を変える!ロジカルシンキング入門』(2006.12中経文庫)より。

 言葉遣いとは、その人の世界に対する認識のしかた、理解のしかたを表すのであって、何でも「明るい」「暗い」という言葉遣いをする人は、世界をいつも二つに分けて理解し、「明るい」はいつでもプラスイメージで、「暗い」はマイナスイメージである。
「暗い」のなかに「深い」とか「深刻」とか「重大」とかいった意味が含まれているとは思いも寄らない。初めは何となく使っていても、そのうちそういった世界の捉え方しかできなくなるから怖いのである。

 語彙力が少ないことは、世界への捉え方に偏りがあるということです。
「きもい」という言葉を連発する子は、この世界を「きもい」か「きもくない」かだけで見ている可能性が高いのです。
 それはある意味、楽なのかもしれません。
 なぜなら、右か左かを選択するだけだからです。
 さらに選択したあと、その正しさを立証する必要がなければ、自分の言動に迷うことなく行動できてしまいます。
 読書離れの問題は、語彙力の足りない人間を生み出していく問題につながっていきます。語彙力を意図的に増やす教え方が必要なのでしょう。

(2015.10.30)