空とぶ化学者とバウムクーヘン

 3年生の学級文庫で、次の本を見つけて、面白そうなので借りました。

原作:石川雅仁 文:松本えつを 絵:桂みき
『空とぶ化学者とバウムクーヘン』(2010.12空とぶ笑顔出版)

 化学の力で人を笑顔にしよう、というのがテーマの絵本です。
 読んでて、これは実話に基づいているだろうと予想して、「石川雅仁」さんについて調べました。その通りでした。
 この絵本をもとに、授業化してみようと考えています。
 絵本からいくつかの文章を抜粋します。

 化学というのは、「なにかが、まったくちがうなにかに変わっていくこと」を観察したり、実験したりする科目。(P.8)

「化学」を授業のキーワードの一つにしたいです。『例解学習国語辞典』では、「物質の組み立て、性質、かわり方などを研究する学問。」となってますが、絵本の言葉の方が分かりやすいです。

「ここは、砂漠ばかりで、はたらくところがほとんどないの。とくに女の人はね。だから、ここにいるみんなは、たからものの木の実からオイルをしぼってはたらけることが、とてもうれしいの」(P.28)

 この「たからものの木」とは、アルガンツリーのことです。
 アルガンツリーは、暑さに対する抵抗力が高く、50度に達する温度に耐えることができるそうです。そして、その木の実の中の仁から、アルガンオイルがしぼりとれるのです。

 まずは、世界でいちばんのシェフのところにとんでいって、あのオイルの特長をいかした「世界でいちばんおいしいお菓子」をつくってもらえるよう、おねがいした。(P.36)

  アルガンオイルを使ったバウムクーヘンを作ってもらったわけです。

 バウムクーヘンを買ってもらうことで生まれたお金は、あの国の女性たちが勉強するための「教科書」と、オイルをしぼり出すための「機械」、そして、「苗木」になった。地球せんぶが砂漠にならないように、ぼくは、女性たちといっしょに、砂漠に「たからものの苗木」をたくさんうえた。(P.42~43)

 この国は、モロッコです。モロッコでは、アルガンツリーが絶滅する危機に直面していました。
 アルガンツリーが絶滅してしまえば、砂漠化は進み、女性たちの仕事もなくなっていきます。
 石川雅仁さんたちの働きによって、やがてアルガンツリーの畑が作られていくのです。
 人を笑顔にする、人を幸せにすることが、化学の力でできるわけです。
 石川さんの絵本シリーズは、ほかにも3冊あります。
 その絵本の内容もうまく組み合わせて、授業化していきたいです。

(2015.12.1)