プロテスタントと資本主義

『世界を変えた10冊の本』(2014.3文藝春秋)で、池上彰氏が選んだ本の一冊がマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。

 一九世紀半ばまで、ヨーロッパ経済は、牧歌的なものでした。人々は、生活できるだけの収入があれば、それ以上は働こうとしませんでした。工場主が労働者に余計に働いてもらおうと給料を引き上げると、労働者たちは、従来の収入分まで働けば、それ以上は働こうとせず、労働時間はかえって減ってしまうというありさまだったというのです。

 生活できるだけの収入で十分であれば、資本主義は発達しません。資本主義は利潤や蓄積を求めてこそ成立するからです。
 16世紀、ドイツのルターが宗教改革をして生まれたのが、プロテスタント(従来の教会権力に抵抗する人)です。

 そもそもプロテスタントでは、職業とは「ベルーフ」(天職)つまり神から与えられた義務ですから、これに従事することが、神の命にかなうことになります。

 要するに「仕事に全力を尽くすことが、来世で自分が救われる確証を得ることになる」わけです。そこから、資本主義が生まれてきたわけです。
 資本主義のもと、キリスト教のプロテスタントから生まれたというところが、面白いです。日本の勤勉さは、どこから生まれたにかも興味がありますね。

(2015.12.4)