机に向かう前に決まる

 池田潤『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』(2013.8サンマーク出版)をタイトルに惹かれて読みました。

 勉強で大事なのは「形」ではありません。「中身」です。
 何時間机に向かったかとか、参考書が何ページ進んだかとか、そういう基準で「勉強したかどうか」を計ることはできません。多くの人が、ここを間違えています。
 勉強したかどうかの基準は、「何を理解することができたのか」「どれだけ知識を頭に残したのか」「どんな問題が解けるようになったのか」という「中身」です。
 勉強したフリになっているだけだった、本当の意味で勉強しているわけではななかったのだと気づくことが、結果を出すための最初の一歩です。

 自分自身のことを振り返ってみると、勉強したフリをしていることが多かったです。例えば、英語ができるようになりたいと思い、毎日、英単語を数回聴くことを課題にしてました。でも、それはただくり返しやっているだけで、1つも実についていませんでした。こうやってくり返しやれば、いつのまにか英語ができるようになる、という幻想を抱いていただけなのです。

 形だけの勉強とはすなわち、「思考停止状態」で勉強しているということです。
 何も思考していないのに、作業だけは行われている状態。(P.52)

 読書をしているとき、まさにそんな状態のときがあります。読書しながら、別のことを考えたりしたりもしてました。その文章に何が書いてあり、それは自分の頭に入れておくべきかどうかと考えていなかったのです。
 前述の本を読んでから、読書中に「思考停止状態」になっているなと感じたら、もう一度、文章を読み直し、何が書いてあったかを確認するようにしています。 さて、前述の本には、やる気を高める方法も書かれていました。
 簡単にまとめると、やる気を高めるためには、結果に対しての強い願望を持ち、肉体的に健康であり、人間関係が良好であり、自分の感情をコントロールできればいい、ということです。
 逆をいえば、結果に対しての願望がなく、病気がちで、人間関係に問題を抱え、周りの環境にいつも自分の感情がかき乱されるようならば、やる気はわかないということです。
 学級担任が、子どもたちにやる気を持たせようと思えば、学ぶことでどんな夢をかなえられるかを語り、健康面に気を配り、学級内の人間関係が良くなるように手を打ち、子どもたちに自分の感情をコントロールするための自制心も育てていくようにすべきだ、ということです。
今の社会を眺めると、未来に対して大きな願望や夢を持てるようには思えません。医学の発達で、健康面は何とかなりそうです。人間関係の問題を解決するための本が書店にあふれているということは、その問題も多いのでしょう。
 そういう社会を変える提案を教師として出せたら素晴らしいのでしょうね。

(2016.1.17)