南国の海と北国の海では、どちらがプランクトンが多くいるでしょうか。
つい、温かい南国の海だと思ってしまいそうです。
プランクトンは、海水の中の酸素の量によって、生命が左右されます。
ちなみに、南国の海が透明なのはこのためです。熱帯の海は水温が高いので、酸素の量が少なく、このためプランクトンも多くは生きられません。ですから、海水が透き通って見えるのです。一方、北国の海は水温が低いので、比較的多くの酸素が溶けています。だから、プランクトンが繁殖し、水が濁って見えるのです。その結果、プランクトンを食べる魚も、水温も低いほど豊富に育ちます。巨大なクジラが北極や南極の海に住んでいるのも同じ理由です。
上記の話は、「酸素を運ぶ貴重な金属」の話に出てきます。吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読み解ける~宇宙、地球、人体の成り立ち』(2012.10光文社)の中に書かれているのです。
体内の血液は熱帯の海よりもさらに温度が高いので、人体は酸素をただ水分に溶かして運ぶというわけにはいきません。そこで登場したのが、赤血球の中にあるヘモグロビンです。
ヘモグロビンは鉄を含みます。「鉄分をとりましょう」とよく言うのは、酸素を体内に運ぶ働きを維持するためでもあったのです。
(2016.2.1)