自分が言われて嫌なことは弱点

 森博嗣の『小説家という職業』(2014.3集英社)が、面白いです。
 小説を読まない人の方が小説が書けることや、小説家の収入がどの程度のものなのか、読まれる小説を出すためにどんな戦略をたてるかなど、赤裸々に書かれています。(読者の期待を裏切ることが大切だそうです。)
 また、小説を書くために、人間観察をするそうです。

人間というのは、自分が弱い部位を、相手に向かったときも攻める傾向がある。自分が言われたら腹が立つ言葉を、相手を攻撃するときに使う。その言葉にダメージを与える効果があると感じているからだ。したがって、悪口を言ったり、苛めたりする人間は、自分が悪口を言われたり、苛められたりすることを極度に恐れている。苛める方も、苛められて傷つく方も、この点で共通している。苛められても気にしない人は、人を苛めない。悪口を言わない人間は、悪口を言われても腹が立たないのである。

 よく、「自分が言われて嫌なことは、人に言わないようにしよう」と言うことが多いです。でも、実際は、自分が言われて嫌なことだからこそ、効果が分かっているから、言っているのです。
 ということは、人に嫌なことをする人は、自分が嫌なこと、すなわち弱点を暴露しているのと、同じことともいえますね。

(2016.2.25)