岡田斗司夫『カリスマ論』(2015.11ベストセラーズ)より。
欧米人は、子どもにお小遣いを与えません。
欧米において、子どもは大人になる前の未完成な存在だと見なされます。未完成な存在は理性を持たず、大人が管理しなければいけないというのが欧米流の価値観です。その一方、日本では子どもを独立した人間と見なし、お小遣いを与えて自由に使わせます。これはどちらが優れているかということではなく、たんなる文化の違いです。
では、なぜ欧米人は子どもにおもちゃを与えるのに、お小遣いを与えないのでしょうか?
未完成な存在である子どもに、お小遣いを与えない理由です。
授業で、「親が子どもにお小遣いを与えることに賛成ですか、反対ですか。」と問われれば、子どもたちは賛成側に回るだろう。
・お小遣いがあれば、ほしい物が買える。
という意見に対しては、
「お小遣いをもらう側の子どもとしての意見ですね。親が子どもにお小遣いをあげることで、子どもの成長にどんないい結果につながるかを言えますか。」
と問い直せばいいでしょう。
・お金の使い方や買い物の仕方を学ぶことができる。
・お金を使うことで、計算力がアップする。
・節約の仕方を覚えることができる。
お小遣いをもらいたい子どもは、いろんな利点を挙げてくるでしょう。そこで、「アメリカやヨーロッパの親は、子どもにお小遣いをあげません。なぜでしょう。」と問えばいいのです。
それはおカネが「武器」だからです。
武器とは何でしょう。
ナイフや銃のように物理的に人を傷つける武器もありますが、それだけではありません。
武器とは、誰が使っても他人に大きな影響を与えられるモノのことです。
銃が危険なのは、大人でも子どもでも、力があってもなくても、理性があってもなくても、同じように殺す能力を発揮できるから。
おカネも同じです。誰が使おうがおカネはおカネ。子どもであってもおカネさえあれば何でも買えますし、人の行動を変えることだってできます。そんな危険な武器を、理性のない存在である子どもに持たせることはできないと、欧米人は考えるんですね。
日本の親が、お金が武器になる、という意識を持っているかどうかが、大事になってきそうです。無自覚なのが、一番恐いです。
(2016.4.12)