北野武『新しい道徳~「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』(平成27年9月、幻冬舎)を読み終えました。
副題の解(北野さんの考え)が「おわりに」書いてありました。
アリが一匹では生きられないように、人も一人では生きられない。
そういう群れを作る生きものには、独特の行動パターンがある。
たとえば、猿の群れには肉食獣を発見すると仲間に警告を発する猿がいる。ゾウの群れでは、大人のゾウが一丸となって子ゾウを守る。群れる動物は、それぞれに群れの仲間のための行動様式を持っている。
人間だってそうだ。
俺たちが「いいこと」をすると気持ちがいい、本質的な理由はそこにある。
自己の損失を省みずに、他者の利益のために行動することを利他的行動という。学者の間ではいろいろな議論もあるようだけれど、ひ弱なヒトという動物が、こんなに繁栄できたのは、利他的行動を発達させたからだ。
北野さんは、本音で道徳について語っているから面白い。
道徳の授業への不審がところどころで見られるが、その不審も飲み込むような道徳授業をめざせばいいだけだと、思ってしまいます。
今は算数ばかりで、道徳の授業をできないのが残念です。
(2016.5.23)