一以てこれを貫く

 齋藤孝著・備前やすのりまんが『まんがでわかる論語』より。

 子(し)曰(のたま)わく、賜(し)や、女(なんじ)予(わ)れを以(もつ)て多く学びてこれを識(し)る者と為すか。対(こた)えて曰わく、然(しか)り、非なるか。曰わく、非なり。予れは一(いつ)以てこれを貫く。
                          (衛霊公第十五‐三)

 これだけでは、何のことか分からないかもしれません。訳も載せます。

 先生が子貢に言われた。「賜(し)よ、おまえは私のことを、たくさん学んで覚えている者だと思っているか。」
 子貢が「その通りでございます。違いますでしょうか。」と答えると、先生はこう言われた。
「違うよ。私はひとつの道理をもって世の中のさまざまな事に用いる、いわば『一以てこれを貫く』者だ。」

 なぜ、これを紹介したかといえば、まさにこれが一点突破だからです。
 一つの道理をもって世の中の様々な事に用いるのは、授業でも同じです。
 私の授業の場合、全員参加のマルチ発問が基軸となっています。そこを出発点として、セレクト発問で個を鍛え、集団を鍛え、知を深めていきます。でも、授業を通してめざすことは自立への道です。
 これが、私の一つの道理なのでしょうね。

(2016.8.5)