ロボットを通して人間理解

 石黒浩『ロボットとは何か~人の心を映す鏡~』(2009.11講談社)

 では、そのような製品作りのアイデアはどこから来るのだろうか?もちろん人の中から出てくるのである。人が人にとって便利なものを作る。その便利なものとは、本来人が行ってきた作業を肩がわりしてくれるものである。言うなれば、
「技術開発を通して人の能力を機械に置き換えている」
というのが人間の営みではないか。

 遠くの人に伝えることがあれば、直接、歩いて出向くのが基本です。
 やがて郵便制度ができ、電話ができ、パソコンやスマホでメールできるようになりました。機械が人のやることの肩代わりをしてくれてるわけです。
 洗濯機があり、車があり、コピー機があり、時代が進むについて、人にとって便利な物が次々と開発されています。そのことを石黒氏は、こうも書いています。

「人間はすべての能力を機械に置き換えた後に、何が残るかを見ようとしている」
 ロボットは、そのような、「人間を理解したい」という根源的欲求を満たす格好の道具である。

 人間理解のために、石黒氏はより人間に近いロボットを造るのです。
 石黒氏がロボットを通して人間理解しているように、わたしたちは様々なことを通して、人間理解しようとしているのかもしれません。

(2016.8.6)