「利用可能性ヒューリスティック」をご存じですか。
利用可能性ヒューリスティックというのは頭に思い浮かびやすい、目立ちやすい特徴や手がかりだけで判断しがちな心理のことを言います。
大江英樹『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(2015.10東洋経済新報社)に載っていました。目立ちやすい特徴や分かりやすさは、簡単に理解できるだけに、小難しい話より、すぐに飛びついてしまうかもしれません。
たとえば飛行機事故が起こると、「やっぱり飛行機は恐い」と思って途端に飛行機の利用客が減ります。ところがよく知られているように実際に事故が起こって死亡に至る確率は飛行機よりも自動車の方がずっと高いのです。ところが飛行機事故が起こった時の悲惨な光景が強く印象に残ってしまうために、自動車には感じない怖さを飛行機に感じてしまうというわけです。
新海誠監督の映画「君の名は。」が若者の間に、大ヒットしています。(私も2回観に行きました。)ストーリーはよく考えられていますが、展開は分かりやすいです。小難しく理解不能なところは余りありません。それゆえに、今の若者にすごく受けているのかもしれません。
それゆえ、今の時代には、観客の知性に判断をゆだねるような深い思想の映画は創られないのかもしれません。(利益が出ないので作れない。)
(2016.10.2)