時間貧困の女、関係貧困の男

 水無田気流『「居場所」のない男、「時間」がない女』(2015.6日本経済新聞社)のタイトルが、この本の一番いいたいことを表現できています。

 日本の既婚女性は家事・育児も含めた総労働時間は男性よりも長く、睡眠時間は短い。とにかく日本の女性には、時間がない。この現状を、私は女性の「時間貧困」と呼ぶ。
 では、男性は女性よりも自由で幸福なのか?幸福度で見ると男性は女性よりも低く、孤独死も自殺者数も女性の倍である。
 最大の原因は、男性の孤立であろう。日本の男性は仕事以外の人間関係が極度に乏しく、「世界で一番孤独」とされる。私はこの男性の孤立問題を、地域社会や家族など私的な人間関係に乏しいことが特徴であると考え、「関係貧困」と呼ぶ。

 既婚女性は「時間貧困」であり、男性は「関係貧困」だというのです。
 教師などの公務員の女性なら、産休・育休のあとでも、職場に戻って、前と同じように働くことができます。それでも、家事と育児のため、遅くまで学校に残って仕事をするようなことはできないでしょう。自分だけの時間は、ほとんどないのが現状でしょう。
 一方、自分のことを考えてみても、男性が「関係貧困」に陥りやすいのは、よく分かります。自分としては、孤独も愛しているのですが。

(2016.12.6)