できる人が会社を滅ぼす

 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.10PHP研究所)は、タイトルからして面白いです。

 これまで日本の会社では、次のような人が「優秀な社員」として高く評価されてきた。
・毎日遅くまで残業し、大量の仕事をこなす
・決断が速く、自分が決めた方向へと部下をぐいぐい引っ張っていける
・不具合や様々な問題が起こっても、とりあえず事を丸く収める調整能力がある
 しかし実は、こうした「できる人」が今、会社をジワジワと滅ぼしているのである。

 できる人は、目の前の大量の仕事を「どうやって」さばくかを考え、その仕事の目的や必要性について考えるのがおざなりになってしまうのです。
 確かに、忙しいときは、その仕事の意義や目的を考えたりする余裕をなくしてしまいます。でもできる人は、できることの自信や成功体験から、忙しくないときでも、目の前の仕事をサッとこなしてしまい、考えることをしないわけです。
 それが会社であれば、会社全体の考える力を奪い、変化の多い社会に対応できなくしてしまうわけです。
 まあ、だからといって、できない人が会社を救うわけでもないでしょう。
 仕事の意義や目的も思索できる「できる人」になりたいものです。

(2016.12.21)