長く働くから残業ゼロへ

 日本電産の会長兼社長CEOの永守重信氏が、『Associe2017.05』で、次のようにインタビューされています。

 日本電産の永守重信社長と言えば、「誰よりも長く働く」ことを誇りとし、組織の強みとして走り続けてきた経営者として知られています。その永守社長が2016年秋、「2020年度までに残業ゼロ企業を目指す」と発表された。きっかけは何だったのでしょう。

 永守氏は6年間のサラリーマン生活を経て、会社を立ち上げました。

自宅の納屋を改造して、同志を3人集めてのスタート。世界という大海原を目指して「日本電産」という立派な社名を掲げました。しかしふと周りを見渡せば、松下電器産業(現・パナソニック)、日立製作所といった「巨人のような大企業」が立ちはだかっている。
 若者4人の「名もない会社」が勝つには、どうしたらいいか。ヒト・モノ・カネの資源もない。でも、1つだけ大企業とも全く同じ条件で持てる資源があることに気づきました。1日24時間という「時間」です。時間を最大限に使うしか、勝てる方法はないと思った。

 そうして、1日の8時間の2倍、16時間は働いたそうです。
 では、なぜ、それが残業ゼロ企業を目指すように方針が変わったのでしょうか。

 2000年代に入ると、海外企業の買収を積極的に行うようになり、「海外の働き方」にじかに触れる機会が増えました。欧米のオフィスでは、17時になると誰もいなくなる。夕方から会議をしようと言っても「今日は金曜日だから」と嫌がられる。
 2010年代には米エマソンなど一流企業からも買収しましたが、さらに厳格な環境を目の当たりしました。ドイツ企業も残業をしない。北欧はさらに進んでいるという。夏は1ヵ月くらい平気で休む。これでどう稼ぐのかと思いましたが、利益はしっかりと出している。
 調べると、労働生産性(従業員1人当たりの付加価値を金額にしたもの。労働の効率性を測る尺度)で北欧諸国は上位にあり、日本は20位そこそこ。

 ちゃんと休んで、しっかり稼げるなら、それがいいに決まっています。
 働くことをがんばるのは、大切なことです。
 ただ、効率を考えないで、ただ長く働くのならば、それは生産性にはつながらないでしょう。
 教師の仕事は、生産性では測れません。
 それでも、効率的に仕事を済ませ、余暇の時間で、しっかり休息をとったり、自分を豊かにするための活動を行った方が、いいでしょう。
 最近の教師、特に担任の仕事を見ると、やることが多すぎるように見えます。
 それゆえ、効率的にやるだけでもうまくいかず、重要なのに緊急でないゆえに手をつけられない仕事ができてきそうで、危険なのです。

(2017.4.24)