自己管理できるのが大人

 齋藤孝『フロイトで自己管理』(角川書店2008.1.10)によると、フロイトは

 三〇歳から、八三歳で没するまでの間、毎日朝八時から夕方まで臨床医として患者の診療をし、深夜まで執筆をするという生活を続けた。その勤勉かつ驚異的な成果は、膨大な著作と多くの書簡集として残されている。
 六〇代でガンにかかるが、三三回もの手術を繰り返し、一六年も病気と闘いつづけた。鎮痛剤の効果で仕事ができなくなるなら、自分は苦痛を選ぶ、といって鎮痛剤を摂取せずに執筆を行い、死の一か月前まで患者の診察をした。(中略:荒井)
 このような苦難や困難の中でも、まともな判断力を維持して自分をコントロールしつづけ、驚異的な仕事量をこなした。職業人としても私人としても堅実に生きたフロイトは、まさに自己管理の天才なのである。

 その人が大人か子どもかの判断は、自己管理ができるか否かにかかっているように思います。
 子どもは、親の庇護があるゆえ、自己管理ではなく親や教師の管理、他者管理で行動していることがほとんどです。
 一方、大人は、自らの責任で行動しなければいけないので、自己管理で行動していかなければなりません。もちろん、仕事で管理される場合もあり得ます。
 一人で生きていく身としては、何より自己管理が大切になってくるのです。

(2009.6.4)