「差別」の存在の重要性

 野口芳宏「本音・実感の教育不易論 第5回 ~「平等と差別」再考~」『総合教育技術2017.08』(小学館)は、刺激的で興味深いです。

 神の御業になる自然界に平等は存在しない。強弱、大小、長短、動静、寒暑等々、自然界の万物はまさに千差万別である。蛙は絶対に蛇には勝てないし、猫は鼠を見つければ殺して食らう。

 最近の差別を許さず平等をめざす社会に、野口先生は疑問を投じます。

我々の日常にとって最も大切なことは何か、を考えてみよう。私は、それは「安心」ということだと考えている。安心の反対は不安である。日々が不安であっては堪らない。安心ほど有難いことはあるまい。
 然らば、安心は何よってもたらされるのか。安心は「安定」によって生まれる。血圧も、地位も、人間関係も安定していれば人々は安心できる。
 では、その安定を保障するものは何か。それは「秩序」である。秩序によって安定が保たれるのだ。秩序なくして安定は得られよう筈がない。その肝要な秩序は一体何によって成るか。それは「差」である。班長、係長、課長、部長には歴然かつ厳格な権限と責任の差があり、別がある。その差別の確定と維持によって秩序が生まれ、保たれるのである。

 要は差別全てが悪いわけではないのです。教師と子どもの差がなくては。

(2017.7.15)