飼い主の責任を果たす

「チャンプ、きみのことはわすれない」『どうとく4年~きみがいちばんひかるとき~』(光村図書)に、次の言葉があります。
「一度あずかった命です。最後まで生かしてやることが、わたしのせきにんです。」 交通事故にあった犬が寿命を全うするまで育て続けた三浦英司氏の言葉です。
 飼い主の責任、親の責任、命をあずかる者の責任をメインにします。
 ネットで調べてみると『チャンプ!~車椅子の犬と歩んだ15年~』(2004.8秋田書店)というコミックや、『車いすの犬チャンプ―ぼくのうしろ足はタイヤだよ』(2004.4ハート出版)という童話も出ています。でも授業には、上記2つの本はあえて使いません。副読本だけを使った授業プランを作りたいからです。

 導入は、副読本を開かせる前に、副読本にある右の写真を提示します。提示するときは、犬の部分を隠しておきます
 アプリの「切り抜きマイスタンプ」を使うと、車いす部分だけ提示できます。
 もちろん、カラーコピーして切り抜いてもいいわけです。
 一通り思いつきを発表させた後、ヒントして、犬が長靴を加えている写真を提示します。
 多分、これで、犬の車イスだと予想できるでしょう。
(この写真は提示しなくていいかも。)

「さきほどの車いすを作った人が、この人です。」
と告げて、左の写真を提示します。
「佐藤英司さんといいます。この犬、チャンプの飼い主です。では、この車イスはなぜ作られたのだろう。」
と問えば、犬が交通事故にあったとか、年をとって足が不自由になったとかの意見が出るでしょう。
 ここでようやく副読本を開かせます。
「道徳の本に、佐藤さんとチャンプの出会いが書かれています。84ページを開きましょう。」

「売れ残った犬がいるんだけど、ちょっと見てくれないかな。」
 知り合いのペットショップで、三浦さんは、一ぴきのビアデットコリー犬と出会った。目が合ったしゅんかん、なんだかほうっておけない気がして、そのまま連れ帰り、「チャンプ」と名づけた。

 教室の中で犬を飼っている子がいたら、その犬との出会いを話してもらうといいでしょう。

 三浦さんが目をはなしたすきに、チャンプが道路に飛び出し、車にはねられてしまったのだ。せぼねが折れ、後ろ足が全く動かない。回復する見こみはなく、医者に安楽死をすすめられた。
「一度あずかった命です。最後まで生かしてやることが、わたしのせきにんです。」

 この三浦さんの言葉を板書し、ノートに写させ、この言葉をどう思うか言わせていきます。
 ここで、次の情報を子どもたちに提示します。

環境省が発表した平成26年度の犬・猫の殺処分数は犬が21593匹、猫が79745匹

 ほとんどが飼い主が保健所に連れてくるそうです。あとは、野良犬や野良猫です。要するに、飼われていた犬・猫が捨てられているわけです。
 もちろん、いろんな事情があるのでしょう。でも、三浦さんのように、飼い主としての責任を飼うならば、果たしてほしいものです。
さて、この後、三浦さんがどのようにチャンプの面倒を見ていったかを読み取らせ、この教材で学んだことを発表させて、授業を終えます。

「生きることを選ばせたのだから、最後までめんどうをみるのが、命をあずかった者のせきにんです。」

(2017.8.1)