右の画像は、何でしょうか。
野菜が入っているので、冷蔵庫と予想できそうです。
そう、冷蔵庫です。
でも、ただの冷蔵庫ではありません。
この冷蔵庫には、電気コードもバッテリーもありません。
扉はガラス製ですが、それ以外は粘土でできているのです。
ミティクールフリッジは自然粘土でできており、自然粘土の加工工場を営むマンシュク(manshuk prajapati)さんによって生まれました。ミティはヒンディー語で「「土を」意味します。
使い方は冷蔵庫上部にあるタンクに水を入れ、その水が庫内に渡ります。気温が上がり水が蒸発して庫内の食品を冷やします。室温より8度くらい低い温度を保ち続けてくれるそうです。
マンシュクさんがミティクールフリッジを作ろうと思ったきっかけは2001年に起こったインド西部地震。電気の使えない被災者に電力のいらない冷蔵庫を提供したいと考えたそうです。それからマンシュクさんは3年間かけ、ベストな自然粘土を見つけ2005年にミティクールフリッジを完成。その後即座に飛ぶように売れ、今ではインドだけではなく、アラブ首長国連邦やケニアからも注文を受け付けるほど人気を呼んでいるそうです。
マンシュク氏が「ミティクールフリッジ」を作ったきっかけが、インド西部地震というのが、授業化するときに使えそうです。
テーマとして扱えそうなのが「ジュガール」です。
ジュガールとは、4つのコアとなる教えがあるそうです。
1.少ない力で多くの利益を得る
2.自分の枠を超えた発想で考え、行動する
3.やわらか頭で考えて、ピンチをチャンスにする
4.シンプルに考える
この考え方は、インドで広がりました。資本が不足し、インフラが未整備であり、格差社会であり、モノ不足であるなどの条件によって、生まれたのでしょう。
電気のいらない冷蔵庫は、ナブィ・ラジュ、他共著『イノベーションは新興国に学べ!~カネをかけず、シンプルであるほど増大する破壊力~』(2013.8日本経済新聞出版社)で知りました。
この本の中に、次の事例も載っていました。
例えば、インドのアッサム州出身のカナック・ダスは、多くの人々と同じく通勤に自転車を使っていた。道はあちこちに穴やコブがあり、そのせいで腰を痛め、速く走ることもできなかった。
日本であれば、道路はいたるところが整備され、自転車で快適に走れます。
インドはインフラが未整備ゆえに、上記のようなことがあるのです。
ダスは「でこぼこ道の方が速く走れる方法はないだろうか」と考えました。
この問いがヒントとなった。ダスは自転車を改造し、前輪がコブに当たるたびに緩衝装置(サスペンシヨン)がエネルギーを圧縮して後輪に伝わるようにした。衝撃を推進力に変換することで、自転車はコブの多い道ほど速く走れるようになったのだ。
上記の自転車の画像がないか調べている中で、右の車いすを見つけました。
従来の車椅子にはサスペンションがない。このため乗り心地が悪く、乗っている人が疲れるほか、エネルギーの最大30%が失われ、推進力としては70~80%しか使われないという。
これは、緩衝装置のある車いすです。 この車いすで階段を下りていく動画もありました。(授業で使えそうです。)
逆境をチャンスに変える、というジュガール(ジュガード)の発想は、道徳の授業として教えたいことです。
以前に紹介した、でこぼこのあるゴルフボールの方がよく飛ぶということもあわせて使えそうです。
(2017.8.3)