一級品は手を抜かない

 唐津一『ビジネス難問の解き方』(PHP2002.4)より。

「韓国がいくらシャカリキにやっても、日本の車には歯が立たない」
 教授が理由を尋ねると、日本のメーカーでの勤務経験もあるというその部長はこう告白した。
「韓国の生産現場では、目につかないところで手を抜く」
 この話は非常に重要である。壊れない一級品をつくるには、手抜きがあってはダメなのだ。モノはうそをつかない。たとえ外からは手抜きが見えなくても、結局、品質の差となって表れてしまう。

 これは、教育にとても関わる話です。
 私たち教師が、目に見えないところで手を抜くような子どもを育てていけば、将来の日本の製品は、一級品から二級品、三級品へと質を落としていき、日本の産業自体が立ち行かなくなってしまう可能性があるわけです。
 例えば、習字を習っているような子でも、ふだんのノートでは雑な字を書く子がいます。手を抜いているのです。また、ふだんの授業のノートは丁寧なのに、宿題になると雑な字で書いて来る子もいます。手を抜いているのです。
 どんな時でも手を抜かないで取り組む癖をどこでつけさせるか、誰がつけさせるかといえば、学校であり、教師ではないでしょうか。

(2009.6.10)