感覚から考える国語授業へ

 白石範孝氏の記念講演「イメージと感覚だけの授業から『考える国語授業』へ」のメモです。

1)授業で大切にしていること。 ①誰もが文字を丁寧に書く。
 ②全ての子がしっかりと声を出す。(単元の中で必ず朗読させる。)
 ③聞くということを大事にしてきた。
 (相手の言ったことを受け入れて、自分の意見を言う。)
2)「もし我々が、今日の子どもたちを昨日までの子どもたちと同じように教えるなら、それは彼らの未来を奪うことになるだろう。」ジョン・デューイ
3)教えるべきことは、きちっと教える国語教育が必要。
4)現状の授業 ①イメージと感覚だけの授業 ②なぞる確認だけの授業(一問一答)
       ③記憶中心の授業      ④活動中心の授業
5)目指したい授業 ①用語の習得と活用 ②方法 ③原理・原則
6)「成 反 灰 皮」1画目はどれ?
7)筆順のきまり…横画を貫く縦があるときは、縦から書く。
8)「問 聞 閣」部首は何?
9)「漢字を見たら音読みしなさい。」
10)音読みあり80%(形声文字) 音符と意符(部首)
 問…モンと読むので、口が部首。  聞…ブンと読むので、耳が部首。
 閣…カクと読むので、門が部首。
 空…クウ(工)と読むので、残ったのは穴が部首。かんむり
11)音読みなし(会意文字) 指示と象形
 解…音読み(カイもゲもない)なし。だから会意文字。
12)かん字作文…指定した漢字(5,6個)を使って創作。使える漢字にしていく。
13)文学作品の基本パターン 中心人物が幸せになるか、不幸になるか。
14)中心人物が事件によってどう変容したのか。
15)最初に書かせると子どもの実態が分かる。
16)3つに分けると、最初と最後がつながる。
17)中心人物を読み取るときは語り手を意識しないといけない。
18)観察作文も問いの文や答えの文を書かせてから。
19)200字以内の短作文を書かせる。→短歌や俳句に使える言葉を取り出す。
 →五音や七音に変身させる。(できた作品を茶色のコーヒーフィルタに書く。)
20)俳句は最後の五音にテーマが込められている。
21)絵本で重要なのはくり返し。そして、意外性が必要。
22)何を書かせるのか、その願いを明確にする。
23)作文の書かせ方 前書き→事実→悩み→結果
24)きまりを使う説明文の授業 はじめ・中・おわり
頭かつ型…事実を述べていく。 尾かつ型…驚きや発見。 双かつ型…説得(投書)

 白石先生が講座の中で、物語「こわれた千の楽器」を扱いました。
 登場人物は、月・こわれた楽器たち(チェロ・ハープ・ホルン・トランペット・たいこ・ビオラ・ピッコロ・もっきん・バイオリン・コントラバス・オーボエ・フルート)です。

 ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました。そこには、こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって、ねむっていました。
 あるとき、月が倉庫の高まどから中をのぞきました。
「おやおや、ここはこわれた楽器の倉庫だな。」

 月にそう言われた楽器たちは目をさまし、チェロが「こわれてなんかいません。働きつかれて、ちょっと休んでいるんです。」と見栄を張ります。
 月が去った後、楽器たちは相談し、お互いを補い合って練習し、ついに演奏できるようになります。
 最後に、月が出て来て、その演奏に感動する。そんなお話です。
 白石さんは、一番変容している月が中心人物である、と言いました。でも、私は、こわれた楽器たちが中心人物だと考えます。
 なぜなら、楽器たちは再び演奏したいという願いを抱き、その願いをかなえるための行動・努力をしているからです。一方、月は何もしてません。
 何もしてない月を中心人物とした物語に、人は感動しないと思うのです。

(2017.8.7)