ストレスとコントロール感

 シェリル・サンドバーグ/アダム・グラント『OPTION B~逆境、レジリエンス、そして喜び~』(2017,7日本経済新聞出版社)より。

 ストレスに関する、古典的な実験がある。
 ランダムな間隔で発される不快な騒音を参加者に聞かせ、集中力が必要なパズルなどに取り組んでもらうもので、実験の結果、参加者の心拍数と血圧は上昇し、集中が途切れ、ミスを連発した。
 この時、参加者の一部にストレスを軽減するための逃げ道を与えた。騒音が不快になったら、ボタンを押して音を止められると教えたのだ。
 ボタンを与えられた参加者は冷静を保ち、ミスが減った。そこは予想通りだ。

 この後、予想していたかったことがあったのです。いったい、何でしょうか。

驚くべきは、実際にボタンを押した参加者がただの1人もいなかったことである。騒音を止めたからストレスが減ったのではない。騒音を止められるという意識が、違いをもたらしたのだ。
 参加者はボタンを与えられることで、「自分で状況をコントロールできる」という意識(コントロール感)をもち、その結果としてストレスに耐える力が高まったのである。

(2017.9.21)