「食する時、五思あり。」は、貝原益軒の『養生訓』にある言葉です。
『週刊朝日2017.12.1』で、帯津良一氏の連載32で紹介されていました。
「一つは、この食の来(きた)るところを思うべきである」
「二つには、これらの食物は、もともと農夫が働いて作り出したものであるから、その苦労を忘れてはならない」
「三つには、自分には才知も徳行もなく、君主を助け、民を治める苦労もないのに、この美味を満喫できることを大いに幸いとしなければならない」
「四つには、世には自分よりも貧しい人もたくさんいて、糟糠の食(粗末な食物)でもありがたく食べている。なかには飢えて死ぬ人もいることを思え」
「五つには、大昔にはまだ五穀がなく草木の実や根や葉を食べていたことを思うべきである」
ともすると、食べられることが当たり前と考え、何も思うこともなく食べてることが多いです。
「朝食や夕食のときに、この五つのうちの一つ二つでも思い出して忘れないようにしなさい。そうすれば、日々の楽しみがそのなかにあることがわかる」
食べるときに思うことが、自分の幸せを確認することにもつながるわけです。
現代の日本で、幸せを感じない人が多いのも、上記の思いがないからでしょう。
(2017.11.23)