聞き手に思考してもらうために

 ジェシー・S・ニーレンバーグ著、小川敏子訳『「話し方」の心理学~必ず相手を聞く気にさせるテクニック~』(2017.10日本経済新聞出版社)より。

 ある話題についてこちらの考えを述べ、さらに相手にも考えてもらうためにはどうすべきか。
 話し手の責任は、自説を言葉で伝えるだけではない。もう一歩進んで、相手がそれについて「思考する」ように仕向けるまでが話し手の役割だ。

 授業であっても講座であっても、子どもたちや参加者にただ黙って聞いてもらってるだけでは、役目を果たしたことにはならないわけです。
 例えば、今度、「さかのぼりの文法学習」について、先生方の前で話します。
 それを聴いた先生方が、私の提案になるほどと思い、実際に、自分の教室で追試してくれなければ、私はただしゃべっているだけといえます。

 こちらが述べたことについて相手が考えるように仕向けるには、質問をうまく使えばよい。
 質問とは相手に思考を促すためのものである。この課題について考えてくださいとリクエストする、それが質問だ。

 例えば、「主語や述語を学ぶことが、どんな役に立つのでしょうか。」と問えば、主語・述語の必要性を参加者に考えさせることができるわけです。

(2018.1.7)