事実は1つしかないのに

『小学校国語五年上』(学校図書)に、「筋道(論理)をたしかめる」があります。「風がふいたら箱屋がもうかる」を読み、筋道(論理)がおかしいところを考えていく教材です。

  風がふいたら箱屋がもうかる
 今日ふいているこの大風で土ぼこりがたくさん立って、人々の目に入ると目の不自由な人がたくさんできてしまう。そうすると、三味線がよく売れるようになる。三味線がよく売れるということは、三味線に必要なねこの皮がたくさん必要になるということ。そうするとねこがどんどんへるからねずみがたくさんふえる。たくさんふえたねずみは箱をかじってあなを開け、だめにしてしまうから、このチャンスに箱屋を始めたら大もうけができるにちがいない。

【問1】上記のお話で、事実といえるのはどのことでしょうか。
【解】大風で土ぼこりがたくさん立つ。
 事実は、たった一つだけです。土ぼこりが人々に目に入って、目の不自由な人がたくさんできるのは、おかしい。もしそうなら、この世の中は、目の不自由な人ばかりになってしまいます。目の不自由な人がふえたら三味線がよく売れる、というのは推測でしかありません。土ぼこりで目の不自由な人がすぐに三味線をひこうとは思わないでしょう。とにかく、事実は1つしかない文章なのです。

(2012.7.21)