リフティング百回①

『3年生のどうとく』(文溪堂)の「リフティング百回」です。

 駿は小さいころから、速く走るのにじしんがあった。サッカーチームに入っているひろしから、「いっしょにサッカーやろうよ。」とさそわれると、駿はじまんの足を生かしてみたくなり、チームに入ることに決めた。

「駿くんのように、自信のあることは何ですか。」
 自分が自信を持ってることを発表できるかどうかです。

 はじめての練習が始まった。駿は運動神けいにもじしんがあったし、すぐにメンバーにえらばれるだろうとかんたんに考えていた。軽いランニング、じゅんび体そうをしたあと、コーチのひと言が、駿をおどろかせた。
「まず、リフティング百回ー。」
 リフティングぐらい知っている。ボールを落とさずに、足や頭でつきつづけることだ。駿だって、五~六回はれんぞくでつけるが、百回はとてもむりだ。でもまわりを見ると、チームのなかまは、少なくとも二十~三十回はついている。さっきランニングしたときは、駿より走るのがおそかった子も、ももや足のこうを使ってつきつづけている。

 駿より走るの子がおそい子でさえ、自分よりもリフティングを続けているのです。そのことで、駿はやる気をなくしていくわけです。(つづく)

(2013.6.5)