自分で考えさせる

 ×をつけるときは、黙ってする。向山氏の算数指導である。
 この「黙って×をつける」のが、「黙って」が、実に重要なのだ。
 教師は善良な人が多い(?)から、黙って×がつけれない。「おしいなぁ」とか「ぜんぜんちがうよ」とか「問題を読んでないね」とか、思わず言ってしまう。
 とりようによっては、自分の指導の結果に対する弁解のようでもある。
 黙って×をすることで、何が生まれるか。
 子どもが考えるようになるのである。
「なんで、×なんだろう?」
 例えば、答えの単位を書き忘れていても、そこは指摘せず、黙って全体に×をつけたらいいのだ。(3回目ぐらいなら、ヒントはあげていい。)
 子どもは見直しなんて、ほとんどがしてこない。×されて、初めて見直しする。 この「黙って×」は、学級経営にも反映される。
 例えば、給食中、ある子が牛乳を倒してこぼす。
 しかし、私は黙ってる。「何してんの。さっさと雑巾持ってきてふきなさい」なんて言葉は、絶対言わない。
 何か問題を起こした時、一番考えないといけないのは、その子本人なのである。それは、教師の出る幕ではないのだ。

(1998.7.15)