根気の前には頭を下げる

 齋藤孝『日本を教育した人々』(ちくま新書2007.11)に、夏目漱石の次の書簡が紹介されていました。

あせっては不可(いけま)せん。頭を悪くしては不可せん。根気ずくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げる事を知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。(略)何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。
                                            (三好行雄編『漱石書簡集』岩波書店)

「世の中は根気の前に頭を下げる」というのがいいです。
 何事も根気よく取り組んだ事が、最終的には評価されていくのです。
 今日社会で、米作りの「中ぼし」で、稲が丈夫になるために何故水を抜くかを子どもに問いました。
「水がないと、根が水を求めて張るから。」
 その通りです。
 根気よく物事をできる人というのは、根が張っているのです。
 気分次第でがんばる人は、大きな風が吹けば、すぐに倒れてしまいそうです。
 授業で教えることも、根気よくくり返し教えたことが定着していくのです。
 名文音読しかり、百問計算しかり、カルタとりしかりです。
 毎日続けることで、子どもの中に、根となって張らせることができるのです。

(2009.7.7)