勉強しないと大変なことになる

 和田秀樹『新・学問のすすめ~勉学は、自分を信じる者を救う。~』(中経出版2007.7)を読み、子どもたちに勉強させる必要性をより強く感じるようになりました。勉強しない子どもが増えると、日本が危ないとも思えるのです。

 学問がないと政府のいいように、金持ちのいいようにされるのだ。
 さらに、学問がないと国の独立も保てない。
 植民地というのは、宗主国が植民地の人間から搾取して、本国に利益を送還することをいう。そして、支配層は宗主国の人間か、宗主国の言葉が話せ、それに気に入られる人となる。
 いまの日本は、株主資本主義という、アメリカ流の企業統治を素直に受け入れている。そして外資、たとえばアメリカ資本が入った場合、アメリカ人の株主が、日本人の労働者をなるべく安く使ったり、首にしたりして、会社の利益をなるべく大きくする形で、自分たちの取り分をなるべく多くすることを要求できるようにしている。もちろん、その利益はアメリカに環流される。
 さらに三角合併という、自分の会社の株を対価に、別の会社を吸収合併できるシステムが、二〇〇七年度から外国企業にも認められることになった。支配層が外国人で、その国の人間はそれに搾取される側、支配層の人が使う英語が話せないと出世できないというのは、まさに植民地状態そのものだ。しかし、学問のない人々は、それを「カイカク」と呼んで、日本のためだと有難がっている。惨めで、危険なことである。

 教師というのは、世情に疎いので、和田氏が抱いているような危機感を持っていない人が多いです。(そう言ってる私もそうです。)
 子どもたちが大人になった時、自分の望むような仕事にありつけるかどうか、とても難しい状態なのです。では、必要最低限の生活が送れるための仕事が見つかるかどうかも、危ないのです。
例えば、ロボットの発達によって、人件費のかからないロボットに、労働力がシフトされる可能性が高いのです。
 単純労働とよばれるものこそ、働き口がなくなるわけです。

 こんな危機のなか、世の中は諦めが蔓延し、中学生の四割以上が学校外でまったく勉強していない。上に上がる希望のない人間が、社会階層のなかで下半分をも占めるほど多いことも明らかになっている。

 まず、教師である私たちは、「勉強しないと将来、大変なことになるぞ」ということを子どもたちに伝えるべきなのです。そして、さらに「勉強することで、自分の未来を築き、日本という国を守っていける」という希望も語っていく必要があるのです。
 それを教えるためには、教師も現代の危機を学び、その危機を乗り越えるための真に役立つ勉強は何かを探っていかなければいけません。

(2009.7.21)