相田みつをの「いのちのバトン」を配って読ませた後、次に「人間の成分表」を配りました。科学的な成分として、70kgの人間は、いくらになるか予想させた後、次のような形式で作文を書かせました。
人間70kgは3000円です。このことにわたしは(賛成・反対)です。
理由は□つあります。
1つ目は、…
2つ目は、…
…
だから、…
『賛成なら、あなたの命、3000円で売ってくれますか。』
と、私がいらないことを行ったせいか、「3000円なんて安すぎます」とか「人間はお金にかえられません。」というような当たり前のことばかりが書かれていました。
次に、紹介するのは、なかなかよく書けてるな、と思える作品です。
これを紹介するだけでも、この授業は完了でしょうね。
◆人間70kgは、3000円です。このことに、わたしは、はんたいです。
その理由は5つあります。
①人を、3000円でなんて、かわれるのはいやだから。
②せっかく、うんでくれた母さんにかわいそうだから。
③人間長いきするのに、そんなんで、かわれたくない。
④3000円て、人間にとって、安いお金で、かってに、かわれるのがいや。
⑤たいじゅうとかで、人間の金額がきまるなんていやだからです。(女子A)
◆人間70kgは3000円です。このことにわたしは反対です。
その理由は4つです。
1つ目は、人間にねだんをつけるなんてだめだと思います。いくら3千円だしたって人間がつくれるはずがないからです。
2つ目は、いくらか学的だからといっても3千円は、安いと思いました。
3つ目は、左以外にも骨や血えきなど入れたら、ぜったい3千円ではないからです。
4つ目は、買われてぶんかいとかされたくないからです。
だから、か学的に3千円といっているけど、人間はぜったい3千円じゃないと思いました。(女子M)
(つづく:まだ面白いのがありますよ。)
(2001.9.18)
続いて、紹介。すべて女子です。
こうして、いいなあ、と思うものをパソコンで打ち直してみると、それでもないな、とも思えてしまいます。向山学級の子の作文と較べると、陳腐で内容も薄いとしか言えません。
しかし、結局は、それが指導者の力量の反映でしかないわけです。
◇人間70kgは3000円です。このことにわたしは反対です。
その理由は4つです。
1つ目は、命があることです。命は、お金で買えるほどではないと思うからです。
2つ目は、人間をお金であらわすことはあまりよくないと思います。
3つ目は、人間はちゃんと自分の意思を持っているので売るほどじゃないと思います。
4つ目は、今、人間の生活にかかわっていることを発明した人を3000円にするなんて、いけないと思うからです。
だから、わたしは反対です。(女子I)
◇人間70kgは3000円です。このことに私は反対です。
その理由は2つあります。
1つ目は人間が3000円なんて安すぎると思います。成分で分けて調べるとそれくらいかもしれないけど、人の命はお金で買ったりできる物じゃないと思います。
2つ目は詩にもあるように、何万人という人が今までつなげてくれた命をそんなお金で買ったりしたら、いままでのみんなの努力が意味無くなると思うからです。
だから私はお金で売ったり買ったりするのは反対です。(女子K)
(この子は、「命のバトン」の詩を関連づけて書いています。こういう作文を期 待してたのですが、それをしたのは1人だけでした。詩を配ってみたものの、 それを関連づける手だてを私が打てなかったからです。)
◇人間70kgは3000円です。このことに、私は、反対です。
その理由は5つあります。
1つ目は、人間の体は成分だけでできているのではないからです。他の生き物をぎせいにして私達は生きているのだから、その生き物の価値を足さなければいけないと思います。
2つ目は、私達は生きることで喜び悲しみをとても体験しているのです。その量の体験をするのに3000円ではできないからです。
3つ目は、色んな人がいてこそ、私達がいるのだから、その分価値は高いと思います。
4つ目は、人間の価値は、命の価値で、それを金であらわすのは無理だと思います。
5つ目は、自分が3000円なんて嫌だからです。安すぎます。これが最大の理由です。
だから人間は3000円ということに対して反対です。(女子Y)
◇人間70kgは3000円です。このことにわたしはさんせいです。
理由は2つです。
1つ目は天は人の上に人をつくらず。3000円以上の人なんていなくていい。これぐらいがちょうどいい。
2つ目は人体の成分をこれぐらいの値だんにしておけば病気の人にドナーで売ってあげられるかもしれない。なにかやくにたつかもしれないから。
だからさんせいです。(女子S)
Sさんは、学級の中で、ただ一人の賛成派です。
私はこの子なりのユーモアではないかと、思っています。さすが読書家です。
(2001.9.19)