押しつけない環境教育

 環境学習の授業計画をたてるために、次の本を読み直しました。
 かけた時間は、41分22秒です。

有田和正『「環境問題」の教材開発と授業』(明治図書)1993.2

 最近、発行年月日の記録が大切だな、と分かりました。
 環境問題の場合、その論調は、いつの年のものかというのが、重要になってくるはずです。環境サミットの前と後や、いろんな現象の前後では、情報内容も変わってくるからです。
 さて、有田氏は、環境問題の学習になると、大変な情況をこれでもかこれでもか授業者が押しつけ、暗く重く深刻な授業になってしまう、ということを指摘されています。
 それは、子ども向きの授業ではありません。
 最後には、かすかでもいいけれど、希望がわき、できれば子どもにもできることを見いだす、そういう授業でありたいものです。
 教師のネタ提示により、子どもが意欲を持ち、そこから子どもが調べ、そして考え、自分の行動へとつなげていく、そういう授業を有田氏は提案しています。 また、一面的な見方を批判しています。
 例えば、ゴミの問題にしても、処理の仕方で、環境をよくする方向に持っていくこともできるそうです。ゴミ発電や生ゴミの肥料化などです。
 1992年6月3日の地球サミット後、植林事業で魚が戻ってきた、とう記事があったことも紹介しています。
 人々の努力によって、環境が改善されていく、という事実を伝えることは、未来への希望をもたらせることになります。また、子ども達自身が行動するきっかけともなるかもしれません。
 さらに、子どもの身近にある素材を使う大切さも強調されています。
 例えば、ハンバーガーは安くするために、安い牛肉を輸入します。そのため、中南米にたくさんの牧場が作られ、それが環境破壊を促進してしまうわけです。
 我々が、マクドナルドの安売り商法を喜んでいる裏側で、地球の環境が破壊されていっているわけです。
 消費向上が環境破壊を進めている現実も、教えていかなければいけません。
 だからといって、安いものを買わない、無駄遣いしない、という行動につながるか、というと、それは難しいです。
「わかっているけどできない」という点にも、有田氏はこだわっています。
 ゴミの有料化に賛成か反対か、という討論も、面白いような気がします。
(自分の行動をふりかえる必要もありますね。)

(2002.9.21)